共栄製茶株式会社様 京都テクノセンター新築プロジェクト CM業務
PROJECT INTERVIEW
全体をワンストップでトータルにマネジメント!
発注者が保有するファシリティ全体を把握し将来的な拡張計画まで踏み込んだ支援を実施!
共栄製茶株式会社様は1836年に創業した「森半」ブランドで知られる日本茶製造の老舗。茶葉や抹茶をはじめ、珈琲・紅茶、さらには関連スイーツ製品等を、国内はもとより海外市場へも幅広くご提供されています。
阪急CMは「木津川開発事業センター新築プロジェクト」について企画から竣工までCM業務を実施いたしました。今回は、当プロジェクトを担当された生産本部本部長・専務取締役の伊藤真二様、ならびにR&D本部長(品質保証・研究開発)・京都テクノセンター長で取締役の立開康司様に、弊社のCM業務ついてお話を伺いました。
CLIENT
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伊藤 真二様
共栄製茶株式会社
生産本部 本部長 専務取締役
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立開 康司様
共栄製茶株式会社
R&D本部長(品質保証・研究開発)
京都テクノセンター長 取締役
INTERVIEWER
高草大次郎・髙山永寿・余部薫子
阪急コンストラクション・マネジメント株式会社
大阪本社 CM部/営業部
*本インタビューは2019年3月12日に行われました。掲載されている情報は取材当時のものです。
将来を見据えた製造キャパシティーの確保が最優先課題だった
本プロジェクトに至った経緯とCM導入のきっかけをお聞かせください
弊社ではここ数年、抹茶などの粉砕系商品の需要が増え始め、まず製造キャパシティを拡張する必要性がでてきました。また、製品や原材料の保管スペースについても検討しなければならず、将来を見据え、生産力と保管スペースの確保という観点から本プロジェクトが立ち上がったわけです。
最初に、既存工場等からそれほど遠くない好立地「木津川」の物件情報を受けたので、まずはこの土地を取得したのですが、ここにどのような機能を持たせた新工場等を整備するのかといった構想自体も、実はまだ固まっていなかったんです。既存工場のどの機能を計画地へ移設し、どんな新規設備を導入すれば良いのかなどを早急に決める必要があったのですが、理想的な新工場等を建設するためには既存の工場や施設、地域特性、将来的な拡張計画などの要素を全て俯瞰したうえでマネジメントを行う必要性があると感じました。
しかし私たちはマネジメントの専門家ではないので「これはとうてい手に負えないと」判断し、発注者側で建設プロジェクトのマネジメントを展開するCMの導入を検討したわけです。正直なところ、当時私たちはCMのことをよく知りませんでしが、弊社の代表は以前からCMの存在や有用性についての認識があり、今回のケースでは特に弊社にとってCMの必要性を強く感じ、阪急CMにお願いすることになったわけです。
Ⅱ期・Ⅲ期工事等将来構想を踏まえた拡張性ある「基本計画書」を立案
施設整備コンセプトを含む「基本計画書」を御提案したその進め方についてご感想をお聞かせください。
プロジェクトの立ち上がり段階から阪急CMにご相談させていただきましたが、今回のような大きなプロジェクトは初めてだったので、弊社の要望や目標コスト、スケジュールはもちろん、施設整備のコンセプトも決まっていませんでした。阪急CMにはそれらをスピーディーに取りまとめ、「プロジェクト基本計画書」として提示いただき、本格的にプロジェクトが進むことになりました。
特に弊社の要望については、弊社が保有する工場や施設、デリバリー機能などを把握していただいたうえで、どの機能を新工場へ移設し、どの部分を将来拡張するかなど、空間軸と時間軸をも含めた幅広いマネジメントを行っていただき、私たちの意見をくまなく汲み上げていただいたと感じています。
食品工場コンサルタントとの協業による「生産ラインのマネジメント」
発注方式の提案についてはいかがだったでしょうか?
設計施工分離方式とするのか、設計施工一括方式とするのか、また設計をどのような体制で行い、設計業務と施工をどのような発注方式にするのかについて、阪急CMから様々な提案をしていただきました。最終的には総合的に判断して設計施工分離方式としましたが、設計者も施工者も今回のプロジェクトに最適な会社を設定することができたと思っています。
生産ラインマネジメントはどんなご感想をお持ちでしょうか?
弊社では、茶葉粉砕後の粉処理が課題の一つだったので、本プロジェクトでは生産ラインを新しく設計作成することから計画していました。このため「生産ラインと建物との間にはどのような課題があり、どのように調整すべきか」などを発注者と各機械メーカーだけで対応できるのかの不安は正直ありました。
しかし、このプロジェクトでは阪急CMの外部コンサルタントである食品工場の生産ラインコンサルタントにも参画してもらうことができたので、弊社側や各機械メーカーとは違う観点から様々な指摘をいただけました。成果の一例としては、最も茶葉が舞う粉砕室の空調機器と茶粉の調整において、気流の影響を最小限に抑えて空調を行う「ソックダクト」といった方法についてアドバイスを受けられたことはとても助かりました。
食品生産工場の高度な機能と本社としての高いデザイン性を両立した「設計マネジメント」
弊社でデザインマネジメントという形式で実施させていただいた点についてお聞かせください。
弊社では「最先端」をキーワードに、「和」のイメージから、より世界に通じる新しいデザインイメージを模索していたのですが、設計が終った段階でもまだ悩んでいる状況でした。そんな中、阪急CMにご相談させていただき、その後の展開は一気にアイデアがまとまった記憶があります。お茶の緑色とは離れたイメージでありながら、飽きのこない「グレー」をベースに、工場の清潔感を重視した「白」を採用し、少ない色数でシンプルかつモダンな雰囲気に仕上がりました。
特に食堂は、私たちではなかなか発想できないイメージでご提案いただき、お客様が来られると驚きの歓声をいただくこともあるくらいです。他に什器や家具、情報設備等の付帯工事の取りまとめもサポートしていただき大変助かりました。工場機能に特化した設計者と阪急CM内のデザイナーの洗練されたデザインが両立し、生産工場としての高度な機能と、本社としての高いデザイン性を確保できたと思っています。
プロジェクトにおける発注者内部や外部の合意形成を支援
プロジェクトの進行管理や社内各部署への報告などについてはいかがだったでしょうか?
定例会では進捗の様子を目に見えるカタチで報告いただいたので、関係者皆がゴールに向かって進んでいく実感が沸き、安心できました。なかでもありがたかったのは月一回の土曜日に実施している役員報告会への同席です。役員が月に一度集まる良いタイミングなので、プロジェクトの進捗状況を専門家の視点からきめ細かくご説明いただけたことで予算の承認がスムーズに得られました。
役員に限らず、弊社の様々な部署はもとより、設計者や施工者、さらには生産ラインの設計・管理をも含めた多くの方々との「情報共有、すり合わせ」を行い、合意形成を図るには高い能力が必要だと思います。そういった意味では阪急CMは、強力なネゴシエーターだと感じました。また、設計者や施工者からの発言意図が理解できない部分でも、それを別の視点から私たちに解りやすく説明いただけたことも大変助かりました。
CM業務の枠を超えたワンストップマネジメントで工期・コスト・品質ともに当初の目標をクリア
結果的に弊社でプロジェクトの全てをマネジメントさせていただくことになりましたが…。
条例や補助金関連を含めた手続き支援など、多面的なサポートをしていただきましたが、特にハラール認証機関との協議支援は大きかったと感じています。アジアへの食品提供にはハラール認証機関との協議は不可欠なので大変助かりました。
今思い返せば、阪急CMのマネジメントのもと、設計者や施工者だけでなく、生産ライン工事関係者までの全員が一丸となってプロジェクトが進んだおかげで、工期・コスト・品質ともに当初の目標をクリアできたと思っています。特に2018年は大雨や台風などの災害が多発したにも関わらず、大きな工期の遅れもなく竣工を迎えられたのは、やはり阪急CMのスケジュールマネジメントの成果だと言えるでしょう。今後のⅡ期・Ⅲ期工事に向けてもぜひよろしくお願いします。
こちらこそ御用命いただければ幸いです。本日は貴重なお時間をありがとうございました。
ありがとうございました。