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- コストレポート
資材価格高騰時における建設コストの推移について
Hankyu CM Channel Vol38(2021.10発行)のコストレポートをご紹介します。 今回は、「資材価格高騰時における建設コストの推移について」と題し、各資材価格のコスト推移を記載させていただいております。加えて、コラムとしてウッドショックやアイアンショックまたそのマネジメントのポイントを記載させていただきました。首都圏における多くの大規模開発案件、2025年大阪・関西万博や統合型リゾート開発等、日本国内において今後も大型プロジェクトが目白押しであり、加えて民間企業においてもコロナ禍にも関わらず、建設投資は旺盛傾向にあり、建設需要が低迷する見込みは今のところ低いと考えています。一方で、9月の中国における大手デベロッパーの経営危機に起因する世界的な信用不安が発生することが否定できない情勢にあります。 阪急CMでは、1996年創業来様々な経済情勢局面において多くの工事発注案件に携わってきており、最適な工事発注に関するCM業務を展開して参りました。そのノウハウを貴社のプロジェクトにおいても役立てていただけるよう努めますので、ぜひお気軽にお問合せ下さい。 お問い合わせ、是非お待ちしております! 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2021.11.19
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- 改修工事
既存施設の空調改修のメリット
バブル期に大量に供給された中小規模のビルやそれ以前のビルの多くは、築20年以上を超え、竣工当時に設置されていた空調設備の多くは、機器・配管・制御系等の老朽化、操作環境・基本性能の陳腐化、保守管理体制への対応が十分でない等の問題が生じ、改修工事が必要となっています。 省エネや機能性向上など新たなニーズに対応し、新築ビルに劣らない資産価値・省エネ性能を確保するというビルオーナーとテナント双方の視点にたち、本ブログではその改修工事のメリットについて触れていきたいと思います。 Ⅰ 経年劣化で発生するリスク 経年劣化で発生するリスクには「物理的劣化」「経済的劣化」「社会的劣化」の三つのリスクが存在します。 物理的劣化のリスク 築20年以上経過し、機器・配管・ダクト・制御系の経年劣化に起因する故障発生率の増加や、メーカーの部品供給停止により、修理が不可能になるリスクがあります。 経済的劣化のリスク 経年劣化に伴う保守コストの増加及び、故障発生時の復旧には多大な費用が必要になります。また、ビルの信頼性が損なわれるリスクも増大します。 社会的劣化のリスク 近年多く採用されるエリア毎に条件設定可能な「個別分散方式」に対し、バブル期の空調方式は個別に温湿度などが調整できない「セントラル空調方式」であることが多く、省エネの観点からも新築ビルに比して年々陳腐化し、社会的ニーズに対応できないリスクがあります。 Ⅱ 改修工事で期待できるメリット 改修計画は、ランニングコスト・資産価値等を比較検討した上で、既存機器のオーバーホール(分解洗浄)、制御系の改修から新しい機器・方式への更新まで、複数の選択肢から組み立てていきます。例えば築20年以上経過したビルの空調機器を従来型の「セントラル方式」から現代型の「個別分散方式」への改修すると以下のようなメリットが生まれます。 省エネルギー化 オフィスビルの空調に消費するエネルギーは、全体の消費量に対して約30%に上ります。空調負荷変動に対し追従性の高い「個別分散方式」に改修することで、省エネルギー化が可能になります。 ランニングコスト削減 保守費の他エネルギー消費量の低減が可能となるのは「個別分散方式」であり、負荷変動に柔軟に対応し、効果的に運転することでランニングコストの削減が可能になります。 資産価値向上 休日対応、時間外対応等のテナント要求に対応する高いフリキシビリティを持ち、エネルギー消費の低減が可能となり資産としての価値向上につながります。 Ⅲ 実施したCM事例 [案件事例]●築37年のオフィステナントビル(地上11階地下2階、約93,000㎡)の空調改修事例です。 [改修理由]●経済的劣化...空調更新を一度も行っていない。●省エネルギー化...現在400V仕様を200Vとし省エネタイプとしたい。●社会的劣化...テナント毎の課金システムを導入したい。[阪急CMにて空調方式の比較検討し意思決定を支援]●既存システムを含めた4種類のシステムを提案●各案のイニシャル・ランニング・メンテナンスそれぞれのコストやメリットデメリットを比較 [結果]●イニシャル・メンテナンスコストは多少かかるが、ランニングコストが低くテナントの課金ができ賃貸対応性(分割・間仕切り対応)が高いC案を採用することとなりました。 Ⅳ 阪急CMの支援 空調システムなど設備改修時には、専門的な知識が必要です。CM方式の導入により、対象の施設固有の様々な条件や要素を勘案し、複数案のメリット・デメリットを比較検討し、発注者がより妥当な意思決定を行えるよう支援することが可能となります。また構想・計画立案、発注支援、設計・工事の各フェーズにおいて、適正なコスト、スケジュール、品質のマネジメントを行えるようになるといえます。我々、阪急CMをお客様の所有資産の資産価値向上に向けて是非ともお役立てください。
2021.06.04
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- コストレポート
コロナ禍における建設コストの推移
はじめに 新型コロナウイルスの感染拡大による東京オリンピック延期やインバウンドの減少、さらに各地で多発する自然災害と困難な状況が続く中、建設プロジェクトに於いても「感染拡大防止対策」「新しい生活様式」など、今までにない様々な対応が必要になっている状況です。現在、建設コストへのコロナ禍による影響はまだ途中段階であると思われますが「建築費指数」「建築・設備主要資材価格動向」「労務費の推移」について考察を交えご紹介いたします。*本レポートは阪急CMが発行する阪急CM CHNNNELvol.36(2021年1月発行)に掲載された内容を再編集したものです。 近年の建築費指数の推移(グラフ1) 緊急事態宣言を境に下降傾向に転じたが、以降概ね横ばい傾向 鉄筋コンクリート造(以下RCという)、鉄骨造(以下Sという)共に、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を境に、下降傾向に転じたが、緊急事態宣言解除後以降では概ね横ばい傾向が見られます(2020年7月時点RC指数118.5~120.7、S指数116.6~118.1/基準は2011年=100)。 グラフ1では、建設物価調査会の統計データによる建築費指数は、消費税増税の影響により需要が落ち込むタイミングにWHOによる緊急事態宣言が重なり、下降傾向に転じましたが、概ね5~6月を底に下げ止まり、以降横ばい傾向が続いていることを読み取ることができます。これにはGoToトラベルキャンペーン等の政府の施策や企業努力など様々な要因が考えられますが、新型コロナウイルスの感染拡大が再燃するなかで、今後の建築費の動きを注視する必要があります。 建築・設備主要資材価格動向(グラフ2) 緊急事態宣言を境に下降傾向に転じたが、以降持ち直しや横ばいの傾向 新型コロナウイルスの緊急事態宣言を境に穏やかな下降傾向であったが、緊急事態宣言解除後以降ではスクラップの持ち直しや概ね横ばいの動きが見られます。グラフ1の建築費指数の推移と比較すると、グラフ2では2010年以降スクラップ以外の振れ幅が小さく横ばい傾向が強い。このことから近年の建築費指数の動向には、資材価格よりも、労務費や施工会社の諸経費が大きく影響していると読み取ることができます。 ガソリン 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大傾向が続いているなか、先行き不安は払拭できず現状を底値圏とした横ばい推移の見通し◎2020年01月 135円/㍑ ◎2020年05月 114円/㍑(↘)◎2020年11月 122円/㍑(↗) スクラップ 新型コロナウイルス感染拡大による工場休止や工事中断が相次ぎ荷動きは低調であったが、在庫調整による需給のタイト感が出てきており、先行き横ばい推移の見通し。◎2020年01月 1.65万円/t ◎2020年05月 1.05万円/t(↘)◎2020年11月 1.65万円/t(↗) 鉄筋・鉄骨 新規需要は低調に推移しており、市況は下落基調が続いているがスクラップ価格の回復を受け目先強含みの見通し。◎鉄筋・・・2020年01月 6.8万円/t2020年06月 6.3万円/t(↘)2020年11月 6.5万円/t(↗)◎鉄骨・・・2020年01月 8.2万円/t2020年06月~2020年11月 7.4万円/t(↘) 生コンクリート 出荷量は新型コロナウイルス感染拡大の影響による着工遅れや工程遅延もあり減少が続いている。協組は2020年4月受付分から1,000円の値上げを打ち出しているが浸透には時間を要する見込みであり、先行き横ばい推移の見通し。◎2019年09月~2020年08月 1.40万円/m3 ◎2020年09月~2020年11月 1.41万円/m3(↗) 型枠(コンパネ) 新型コロナウイルス感染拡大の影響による更なる需要低迷により、過去にない低水準の入荷が続き、需給にタイト感が出てきており目先強含み推移の見通し。◎2020年01月 1,300円/m2 ◎2020年04月 1,270円/m2(↘)◎2020年08月 1,200円/m2(↘)◎2020年09月~2020年11月 1,170円/m2(↘) 600vビニル絶縁電線(IV) 都市部の大型物件を中心に堅調に推移していた需要は、新型コロナウイルス感染拡大による工程遅延などから落ち込みも見られるが、先行き横ばい推移の見通し。◎2020年01月 22.5円/m◎2020年05月 20.4円/m(↘)◎2020年08月 21.8円/m(↗)◎2020年11月 22.5円/m(↗) 配管用炭素鋼鋼管(SGP) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け需要は低迷しているが、生産調整等により価格に変動なく先行きも横ばい推移の見通し。◎2019年09月~2020年11月 4,100円/本 主要都市の鉄筋工事、型枠工事の市場単価(労務費)の推移(グラフ3) グラフ3では、労務費の目安は2016年11月頃より長らく概ね横ばいの推移が続いていましたが、2019年5月頃より東京都心部では需給の緩和や、工事量減少の見通しから専門工事業者間での受注競争が活発になり下落傾向に転じたと読み取ることができます。 新型コロナウイルスによる先行きの不透明感から、今後受注競争が活発になるとの見方もありますが、現状では概ね現行価格が維持され一部弱含み推移となる見通しです。ただし本稿執筆中である2020年12月時点では、名古屋に僅かな下降傾向が見られましたが、大阪は横ばい推移が続いており殆どデータに影響は表れていません。 おわりに コロナ禍の現在、建設コストへの影響が大きく注目されていると思いますが、本稿でご紹介した「建設コストの推移」では今のところ2008年のリーマンショック後のような急激な変化を確認するには至っておりません。 ただし、今後の建設プロジェクトにおいては、コロナ終息後も根付いて行くと思われる「新しい生活様式」への適応や、受注競争及び、サプライチェーンの世界的変化などによりコストや工期への影響が懸念されます。先行きの不透明感が強まるなか、懸念事項を解決し建設プロジェクトを成功させるためには、最新の情報を得ること、そして何よりその活用方法が重要と考えます。 当社では公共・民間問わず、様々なプロジェクトのCM業務・工事費査定業務に携わっており、「最新の建設プロジェクトの進め方」及び「最新の建設コスト情報」にてサポートすることが可能です。建設プロジェクトを進めるにあたり、お困りのことがございましたら是非お声がけいただきたいと思います。
2021.03.16
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- プロジェクト & コンストラクション・マネジメント
物流施設におけるCM方式の導入について
はじめに 近年、物流施設は既存施設の老朽化や都市圏郊外への高速道路網の整備による沿道立地により、施設の大型化・効率化・高機能化を求められています。またネット通販市場が活況であることから、増加の傾向にあります。 弊社でも物流施設のCM業務を多くご用命頂き、大手不動産デベロッパー発注案件や海外案件の実例もございます。筆者担当案件としては、「ビル型」BTS(専用倉庫)で冷凍冷蔵倉庫+ドライ倉庫機能、また「スロープ型」のマルチテナント倉庫の一棟借り(1テナント)対応など多様化したものもございます。今回は物流施設建設のCM業務に関し、基本的なアドバイザリー事例を交えてご説明致します。 物流施設におけるCM業務フロー 阪急CMは、プロジェクトのあらゆるフェーズより参画することが可能ですし、フェーズ毎にスポット的にご支援することも可能です。ただ、以下図表のA印で示す「基本計画より前」に導入頂くのが最も効果的だと考えています。物流倉庫では、基本計画フェーズで設計施工者(ゼネコン)の選定を行うケースが多いため、発注者と阪急CMでボリュームプランと仕様書を策定した後にゼネコン選定を行う手順が合理的な進め方と考えます。 当初より設計と施工をゼネコン1社に託してしまうと、要求品質の変更や増減コストの舵取りがゼネコン主導となってしまう恐れがあるからです。主役は発注者であり、そのサポートを行うのが我々コンストラクション・マネジャーの役目となります。 マルチまたはBTS倉庫の選定は、遅くとも基本設計開始前(B印)に決める必要があります。テナントリーシングには、阪急阪神ホールディングスのグループ力をご活用頂くことも可能です。 実際のアドバイザリー業務(事例) 配置計画やスパン計画 片面バースの計画の場合、以下のような逆U字の物の流れとなります。バースにどの大きさの車が何台止まるかもスパン決めでは重要です。40ftトレーラー(45ftも視野に入れ)対応として計画します。 倉庫のラック配置と充填効率 11×11mスパンのラックレイアウトが以下の図になります。フォークリフト通路幅3mをとり、防火区画面積1500m2以下を考慮しますと、充填効率は上がります。坪貸し賃料だけでなく「パレット当たりの賃料」との言い方でテナントとの交渉に使えると考えます。 庫内照明 倉庫照明標準はLED仕様で200lxが一般的です。照明器具の吊り方は、床躯体への打込配線がひび割れ防止の観点より敬遠され、さらに改修時の自由度を高めるため、メッセンジャー方式を採用するケースが増えています。庇下等は風の影響があるのでレースウエイ方式を推奨しています。 アメニティの向上 働く方々の環境も重視するのが近年の傾向です 荷物やトラックが主役の倉庫ですが、最近はピッキング等、倉庫で働く人の作業環境の向上が求められる傾向も多くなってきました。庫内の空調や休憩所をはじめ、食堂や売店、保育所などの設置を行う事例も増えてきています。 阪急CMは総合的な視点に立ち皆様のプロジェクトをサポートして参いります 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2020.08.21
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- 改修工事
改修工事に伴う不具合の解決事例について
はじめに 建物の改修工事は、たとえ多くの実績やノウハウを有する施工者が対応した場合でも、不具合が発生してしまうケースがあります。その主な要因は、改修工事の調査・設計段階において対象建物が使用中のため十分な調査ができなこと、また工事段階の期間やスペース的制約により難易度が高い中での作業となること等が挙げられます。[改修工事の不具合の要因例]〇設計段階で現場調査に制約がある〇新築の竣工図やその後の改修図がない〇改修工事の設計図書が不十分〇作業可能な時間に制約がある〇搬入経路の確保や資材置場の確保が不明 不具合が発生してしまった際には、設計者や施工者との協議だけではスムーズに解決に結びつかないケースがあります。また不具合の内容により想定外の費用が発生する場合や発注者と施工者(設計者も含む)間で法的な係争に発展してしまうリスクもあります。ここでは阪急CMが実際に受託した総合マネジメント型CM業務※1のうち工事段階においてご相談を受けた事例で解決に至った事例をご紹介いたします。 事例1 福祉施設の個室改修工事における事例 床置き型ファンコイルユニット(以降FCU)※2の改修を実施したところ、竣工引渡前に夜間のFCUの暗騒音が大きく施設利用者に影響を及ぼすことが懸念された。 原因 選定したFCUが低水量型であったのに対し施設全体の冷温水量が大きすぎたためコイル内での騒音が増大。 対策と結果/CMrの対応 施設全体のバランスを考慮しながら水量調整を行うことで騒音を低減しました。 これは竣工引渡し前に対応した事例です。弊社は発注者の代行者として問題に参画し、改修工事の設計者・施工者及び関係者を集めて、対策会議・現地調査を数回実施し、是正方法・スケジュールを取り纏めました。発注者に中間報告のうえ是正を行い、発注者への報告を行いました。 事例2 更衣室を会議室に改修する工事での事例 会議室のLAN配線は電算室から配線されていたが、テスターによる測定の結果、配線長が100mを超えており、専門業者から伝送能力に責任が持てないとの回答を受けた。 原因 平面計画での机上確認では、100mを超える配線はなかったが、実際には床下から天井までの迂回や障害物による迂回が発生し、120mを超える配線長となっていた。 対策と結果/CMrの対応 ルートを変更し、中間にHUBボックスを設置して中継を行うことで、ルートを短縮化し100mを超えるケーブル配線長を解消しました。 図表提供:阪急CM この事例は改修工事中に発覚した事例です。実際のLAN配線が100mを超えても不具合が発生するとは一概には言えませんが、発注者へは将来的な保証を考慮し、是正することを強くお薦めしました。通信専門業者と設計・工事業者との協議を重ね、対策案を取り纏め、工事費用も工事関係者サイドにて費用負担することで妥結しました。 事例3 地下に出張所を設置した工事での事例 竣工直後に空調ダクトからと思われる振動と低周波音が発生し、業務を行われていた女子従業員が、体調不良を訴える事態となった。 写真提供:阪急CM 原因 天井内の空調ダクトと天井部に遮音対策を行うも、状況に変化はなく、騒音振動源を調査した結果、壁を介して隣接する空調機械室からの振動騒音であることが判明した。機械室内を調査したところ、エアハンドリングユニット※3に接続されているダクトの曲がりが大きすぎたため、ダクト鉄板の一部分にめくれが生じ、太鼓効果でダクト内に振動・騒音が発生していた。その振動騒音がダクトから界壁に伝搬し、出張所内壁を振動させていた。 対策と結果/CMrの対応 ダクト曲がりを緩やかに修正し、めくれた鉄板を撤去・補強した結果、騒音・振動とも良化しました。 この事例は竣工直後にご相談を受けたものです。弊社は発注者の代行者としてビル管理者及び工事責任施工業者と協議を重ね、現場調査と対策方法を取りまとめ、発注者に報告を行いました。また費用についてもビル管理者と協議し、ビル管理者の費用負担で工事実施に結び付けました。 まとめ 以上3つの事例をご紹介いたしました。 利用中の建物を改修する際に生じる不具合は、発注者にとって社会的・経済的損失、あるいはテナントやユーザーに対する補償問題に発展するリスクをはらんでします。よって改修工事は設計段階の未調査部分を入念に確認しながら進めていく必要があります。 こうした背景に精通するのが我々コンストラクション・マネジャーです。 阪急CMにご用命いただければ、改修工事の不具合発生リスクの低減・円滑なマネジメントを通じて皆様のプロジェクトを御支援してまいります。皆様の計画におかれましても、何かお困り事がありましたら是非お気軽にお問い合わせください。 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2020.08.18
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- テレワーク
テレワークがワークスタイルに与える影響
緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ安心できない日々が続いております。 皆様、いかがお過ごしでしょうか。 新型コロナウィルスの影響により、急遽テレワークに突入された方々も多かったのではと思います。新しいに日常(ニューノーマル)、ソーシャルディスタンス、生活様式の変容など、これまで聞かれなかった言葉も今では当たり前のように言われるようになり、新たな生活スタイルへのフェーズへと世の中が変化しつつあります。 新型コロナウィルスの影響で「お住まい」が「仕事場」に 自宅における執務スペースの確保が話題 テレワークによって、今まで住まいは「寛ぎの場」だったものが、「仕事場」にもなってまいりました。快適な仕事場をつくる上でどうしたら良いか、また、こうしたいああしたいといったご要望も多いのではないでしょうか。ですが、TV会議を行うにしても周りの音の問題とか、お子さんが邪魔をしてしまうなど、ご自宅にプライベートスペースがある方は良いですが、無い方はどうすれば良いか。 例えば、リビングの一角にカウンタースペースを設け、カフェで仕事をするようなイメージで半個室空間を設けるといった試みは比較的簡単にできるスペース作りかと思います。それにより、少しは集中できる環境が得られると思いますので良かったらお試しください。また、これから新築をとお考えの方々は、今後はプライベートスペースの確保を前提とした間取りとなり、さらに、住設機器の感染予防の製品も今後開発されるていくことでしょう。 今回のコロナによる影響は色々なことが徐々に変化するきっかけとなりそうです 企業は、BCP(事業継続計画)対策として、感染症対策についても考慮し、個人は通勤のない働き方が当たり前となり、勤務スタイルが変化していく可能性があります。もしオフィススペースの効率化あるいはテレワークとの並行運用の中でオフィス空間の価値を見直すお考えがございましたら、コスト管理を含めたマネジメントサービスをご提供できる可能性も多々ございますので、お気軽にお問い合わせください。 テレワークを少しでも快適に 最後に、テレワークを少しでも快適にするため、弊社スタッフの取組みを一部ご紹介させて頂きます。良かったら参考にしてください。 〇サブモニター購入による業務効率化〇物置を整理して個室空間の確保〇折りたたみデスクを購入し仕事スペースの確保〇少しでもオンオフの切替えをする為、TV会議時に上着を着用し適度な緊張感の確保〇自宅屋根を遮熱塗装・暑さ対策としての室内環境整備 気の抜けない日々がしばらく続きそうですが、くれぐれも皆さまご自愛下さいませ。 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2020.08.05
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- 健康・衛生対策
新型コロナウィルス対策 ~換気編~
新型コロナウイルスの影響で日々刻々と状況が変わる中、いかがお過ごしでしょうか。 今回は、新型コロナウィルス対策~換気編として日常でもできるポイントについて触れたいと思います。皆様もご存じの通り、ウィルス対策として換気は有効との報道が既にありますが、身近なところでどういった点が換気にあたって有効か触れていきます。 窓をあけるときは二方向の開放を心掛けましょう 窓を開けたり換気扇をまわしたり身近なところから対策をたてる まず御自宅では、キッチンやトイレ、浴室の換気扇を常に運転させておくこと、あるいはこれから暖かくなる季節ですから、窓をあけることも有効といえるでしょう。また、もし出勤されている場合は、オフィス等で普段運転されていない倉庫等の換気扇を運転させることも有効かもしれません。大切なのは空気の流れをつくることです。窓をあけるときは二方向の開放を心掛けましょう。窓がひとつしかない場合は、部屋の入口のドアを開けてみましょう。 ご存知のようにルームエアコンや事務所に設置された天井カセット型等の空調機は室内空気を循環させているだけですので、それだけは新鮮な空気は取り込めません(システムによっては新鮮な空気を取り込める機器もありますので確認されると良いでしょう)。ですので空気が出ているからといって安心せず「換気機器」そのものを運転させるよう心がけましょう。オフィスに限らずタワーマンションなど機密性の高い空間において、感染リスクの要因にもなりうる「換気の悪い密閉空間」を少しでも回避できるかと思います。 換気と同時に湿度も大切なポイントです ただ換気が有効である一方、過度な換気は、湿度を低下させる側面もございます。湿度がさがると、冬場や気温が低い日は特にお体の喉の粘膜が乾燥し、逆に感染のリスクが高まるかもしれず過信は禁物です。そのため湿度も重要なポイントとして心掛けましょう。新鮮空気における温度、湿度、換気のバランスが重要といえます。 大切なのは「うつされない」ではなく「うつさない」という意識 ご存知のように換気は有効な対策のひとつであり、さらに重要なのは室内の在室人数をすくなくすること、そして今般の情勢ではご自宅にて外出をお控えいただき、往来する人との接触を極力減らしていくことが、とにかく重要といえるでしょう。このような情勢ですが、皆様におかれましては、くれぐれもお体に気を付けてお過ごしくださいませ。以上「新型コロナウィルス対策~換気編~」でした。御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2020.04.24
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- プロジェクト & コンストラクション・マネジメント
Wedge 2020年4月号掲載 - Advertisement from Hankyu CM -
こんなお悩みありませんか? 建設プロジェクトの経験が無い 建設プロジェクトがうまく進んでいない 工事の発注方法がわからない 工事施工者の見積り金額が適正価格かわからない 発注プロセスの透明化を確保したい 設計内容を適正化しコストダウンを図りたい 工事が適切に進んでいるか不安・・・・ 建設工事のお悩み事はどんなことでもご相談をお受けします。 企画中・実施中の建設プロジェクトに対して、工事費が予算を超過していたり、設計や工事の品質確保が検証できないなど、悩みごと・不安なこと・納得がいかないことはありませんか。もしそのままプロジェクトが進んでしまうと、後々「こうしておけばよかった」など後悔が残る結果になるかもしれません。プロジェクトを確実に成功へと導くため、阪急電鉄が都市開発で培ってきた100年を超えるノウハウを、是非皆様の建設プロジェクトに取り入れてみてください。新規のプロジェクトだけではなく、進行中のプロジェクトや建設完了後の疑問点、また、数千万円台の改修工事から数億~数百億の新築工事まで、建設に関する内容であればどんな内容でもご相談をお受けします。 建設業界における"CM"をご存知ですか? CMと聞くと普通コマーシャルなどの宣伝媒体のことと思われる方も多いと思いますが、我々が紹介するCMは建設プロジェクトのマネジメント方式として海外で多く取り入れられている「コンストラクション・マネジメント方式(CM方式)」のことを指します。通常の建設プロジェクトとCM方式の大きく異なる部分は、コンストラクションマネジャー(CMr)が、発注者の代理として、「設計者」や「施工者」とは異なる発注者側の立場から建設プロジェクトを適切にマネジメントするところにあります。お客様が抱えるさまざまな不安や疑問を解消しながら、コスト・スケジュール・品質などの最適化を図ることが可能となります。 CMrによる発注者の支援とは? 近年の建設プロジェクトでは、大型化・複雑化・多様化する傾向に加え、同時期に複数のプロジェクトが進行する場合も増えています。このような状況では発注者側の負担が増大し、的確な判断、調整を満足に行えない状況に陥ります。そこで登場するのが、我々CMr(コンストラクション・マネジャー)です。建設プロジェクト支援のスペシャリストである我々の介入により問題点や疑問点を改善し、プロジェクトを確実な成功へと導いていきます。 阪急CMとはどんな会社? 業界のパイオニアにして真の発注者系CM会社です! 阪急コンストラクション・マネジメント(阪急CM)は、日本で初めてのCM専業会社として1996年7月に設立されました。阪急電鉄株式会社の100%子会社として建設マネジメントノウハウを継承するとともに、設立以来20年以上にわたり8000件以上に及ぶ発注者様の建設プロジェクトを支援して参りました。業界においてはパイオニア的な存在といえ、真の発注者系CM専業会社として多種多様なサポートをクライアント様へご提供しております。 阪急CMのプロジェクト支援について 阪急CMが実施するプロジェクト支援は、特に導入効果の高い企画段階からであっても、あるいは設計や工事の段階からであっても、どの段階からでも導入可能です。どのような状況でも我々阪急CMはプロジェクトを的確に把握し、ベストなパフォーマンスをもって皆様のプロジェクトを強力にバックアップしていきます。 企画構想段階からのご支援がもっとも効果的です。 建設プロジェクトの工事費は、実はプロジェクト初期の企画構想段階の計画により、ほぼ決定してしまうといっても過言ではありません。着工直前にCM方式を導入した場合でも効果は見込めますが、工事費査定による価格交渉が主体となるため、調整できる範囲が限られ、結果として予算超過により諦めなければならないことが溢れたり、計画を中断する必要などが出てくる可能性があります。 近年、阪急CMではプロジェクトで最も重要な、この企画構想段階から発注者を支援することに力をいれています。皆様の要望が、ふと思いついたような、まだ形にならない段階からであっても、ご相談をお受けし、要求内容を細かく精査、予算・工期両面において実現可能な最適案の策定から支援させて頂くケースが増えています。 阪急CMが選ばれる理由 その特徴はコストマネジメント能力にあります。 阪急CMが最も得意としているのは業務全体の4割以上を占めるコストマネジメントです。阪急電鉄をはじめとした阪急阪神東宝グループの案件に加え、グループ外のお客様が所有している様々な用途建物において、毎年膨大な数のコストマネジメントを実施しています。この膨大なコストデータを効果的に活用し、阪急CMが参画する前と参画した後においては、平均すると10%程度の建設工事費削減効果が実績値としてあらわれています。 多くの発注者様から高い評価をいただいております。 阪急CMが行う多種多様な発注者支援業務がもたらす効果については、数多くのお客様から非常に高い評価をいただいており、これまでにご採用いただいたお客様からのリピート受注や他のお客様への御紹介による受注も増え続けています。これは阪急電鉄のDNAを受け継いだ阪急CMの長年培ってきた豊富なノウハウと、発注者のプロジェクト成功を第一に考え支援する手腕により、多くの建設プロジェクトを成功へと導いてこれたからこそだといえます。 ご検討中のプロジェクトがあれば、是非ご気軽にお問い合わせください! https://www.hankyu-cm.jp/contact/form.html 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! - 本ブログはJR東海グループが発行する「Wedge」2020年4月号に掲載された阪急CM 広告「失敗しないための方法 ご存知ですか?-あらゆる建設プロジェクトを強力にサポート-」を再編集したものです。お問い合わせ、お待ちしております。
2020.03.24
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- 建築基準法
建築基準法改正について (平成30年法律第67号) 2019年6月25日施行
今回の法改正で、これまでの建築基準法の考え方から大きく変更となる内容は、「性能規定化」が行われることにあります。従来は、仕様規定により建築物の材料や工法、寸法などが具体的に規定されており、この基準を満たす必要がありました。しかし性能規定化により、達成すべき目標に対して建築物に要求される性能が満たされていれば、従来の材料・工法・寸法などの仕様にとらわれない設計とすることが可能になりました。結果として、これまでは耐火建築物とする必要があったために実現が難しかった「木造建築物の構造現し※1」が、耐火建築物と同等以上の性能を持つ延焼防止建築物等による設計により実現可能となりました。 法改正の背景 3つの観点 建築物・市街地の安全性の確保 防火地域・準防火地域などの市街地では、火災が発生した際に建築物による延焼を防止し、火災の危険性を抑制する性能が建築物に求められています。しかし、2016年12月に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災や、2017年2月の埼玉県三芳町の倉庫火災など、近年大規模な火災が発生していることから、改めて建築物の適正な維持管理や、老朽化した木造建築物の建替え促進を図ることが課題となっています。 既存ストックの活用 2018年の住宅・土地統計調査結果から、直近の空家数は全国で846万戸と、20年で約1.5倍に増加しており、このうち4割に至っては活用方法が未定の「その他住宅※2」となっています。一方で総住宅数は毎年増加傾向にあり今後も既存ストックとしての空家は増加するものと考えられています。このような実情を受け、今回の法改正では、増加していく既存ストックを資源として有効活用する際にネックとなっていた部分の見直しが図られています。 木造建築の推進 国土の約67%を豊かな森林資源が占める日本では、「日本再興 戦略2016」でも挙げられている通り、国を挙げて建築物の木造及び木質化を推進しています。しかし建築物の規模や用途により建築基準法の制限がかかるため、中規模以上の建築物では木造化が進んでいない状況でした。これを受け、木造に対するニーズへの対応と共に地場産木材を利用した地域振興を図るため、法改正により積極的な木材利用推進が図られています。 6月改正の内容 2019年6月25日施行の法改正では、防火規制の緩和をはじめ各種改正が行われています。 密集市街地等の整備改善に向けた規制の合理化 (建蔽率緩和の対象拡大) 防火地域・準防火地域において、延焼防止性能の高い建築物への建替えを促進するため、これまでは防火地域かつ耐火建築物の場合に建蔽率が10%緩和されていましたが、法改正により、準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物に対しても建蔽率の10%緩和が適用されることになりました(表1参照)。 既存建築物の維持保全による安全性確保に係る見直し 埼玉県三芳町の大規模倉庫火災を受け、建築物の維持保全計画の作成対象が見直され、倉庫・車庫用途で床面積3,000m2を超える建築物が新たに作成対象となりました。また、安全性に問題のある既存不適格建築物に対しては、これまで行政からの命令や勧告といった比較的厳しい措置のみであったため、制度としての利用が進んでいませんでした。そのため、指導や助言といった項目を追加することで、建物所有者が行政へ相談しやすい法令へと改正されています。 戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化 確認申請(法第6条第1項)の対象となる建築物の規模が見直されたことで、用途変更を行う場合の対象面積も変更となりました。従来は法第6条第1項1号に該当する建物(特殊建築物で床面積100m2を超える建築物)は用途変更申請が必要でしたが、改正後は床面積200m2を超える建築物が対象となったことから、既存3階建て150m2の住宅などをグループホームに用途変更する場合に確認申請が不要となりました(表2参照)。 従来は3階以上を特殊用途(法別表い欄1~4)とした場合[法第27条]により、主要構造部を耐火構造とする必要があり、木造住宅等から他の用途への用途変更が難しい状況でしたが、法改正により、小規模建築物(階数3、延べ面積200m2以下)は規制の対象外となりました(表3参照)。 建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設 既存不適格建築物を用途変更する際に、既存遡及される項目については現行基準への適合が必要であることから、大規模な建物では特にコストや工期の負担が大きく、用途変更を行う事例が少ない状況であったため、用途変更の際にも全体計画認定制度※3を導入し、段階的に改修工事を行えるよう法改正が行われています。また、既存建築物を一時的に用途変更する場合、新設の仮設建築物と同様に適用除外となります。 木材利用の推進に向けた規制の合理化 法改正による性能規定化に伴い、建築物に要求される耐火性能の基準に新たな枠組みが追加され、従来は耐火建築物とする必要があった建築物も同等以上の性能を有した建築物とすることが可能となり、設計の幅が広がっています。 改正前の建築基準法では、[法第21条]により高さ13mまたは軒の高さが9mを超える建築物、延べ面積が3,000m2を超える建築物の主要構造部(柱や梁など)を耐火構造とする必要がありましたが、改正により、高さ16mまたは地階を除く階数が4以上の建築物(倉庫・車庫は除く)が対象となり、規制が緩和されました(表4参照)。 防火地域・準防火地域内の建築物は、[法第61条]により規模に応じて耐火建築物または準耐火建築物とする必要があり、特に防火地域では小規模な建築物でも耐火建築物とする必要がありました。しかし、法改正により、耐火建築物と同等以上の性能を持つ「延焼防止建築物※4」や、準耐火建築物と同等以上の性能を持つ「準延焼防止建築物※5」が新設され、各性能を満たす建築物でも設計可能となりました(表5・6参照)。 用途制限に係る特例許可手続の簡素化 都市計画で決められている用途地域では建築可能な用途が定められていますが、建築審査会の同意を得た上で特定行政庁の許可がある場合は、特定の用途以外でも建築可能となります。第一種低層住居専用地域へのコンビニ建築など、これまでに許可の実績が多いものについては一定の基準を満たした場合、手続きの合理化として建築審査会の同意が不要となります。 その他 防火床による区画 / 共同住宅等の界壁の代替措置 / 階段構造の緩和 / 手続きに関して <現時点で改正が未定の政令> 延焼のおそれのある部分 / 無窓居室の主要構造部 / 小規模建築物の直通階段 / 敷地内通路の幅員 / 内装制限の代替措置 / 避難安全検証の見直し / アトリウム等における面積区画の適用 / 排煙上の別棟とみなすアトリウム等の基準 / 異種用途区画の代替措置 おわりに 建築基準法は大災害の発生や建築技術の進歩により、適宜改正されており、今回の法改正の内容が更に緩和されたり、場合によっては規制強化となる可能性があります。建設プロジェクトにおいて全体のコストに直結する法改正もあることから、プロジェクト全体の品質向上のためにも、改正内容は設計者・施工者だけではなく、発注者側(CMr含む)も理解を深めていくことが重要です。
2019.12.25
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土砂災害・洪水浸水災害の前兆と対応について
昨今の異常気象により、全国各地で記録的な大雨による土砂災害や洪水浸水災害が頻発しています。 そこで今回は周知とは思いますが、それぞれの災害が発生する前兆や、災害が発生した場合に被害に遭わないような対応について述べていきたいと思います。 土砂災害 土砂災害の種類と前兆 傾斜が急な山が多い日本では、大雨による土砂災害が発生しやすくなります。土砂災害には、斜面の地表に近い部分が、雨水の浸透や地震等で緩み突然崩れ落ちる「がけ崩れ」、斜面の一部あるいは全部が地下水の影響と重力によってゆっくり斜面下方に移動する「地すべり」、山腹や川底の石・土砂が長雨や集中豪雨によって一気に下流へ押し流される「土石流」があります。土砂災害が起こる前には様々な前兆現象が発生する場合があります(図1参照)。 土砂災害から身を守るために 自分の住む場所が「土砂災害危険個所」かどうかを確認 各都道府県では、土砂災害の危険性がある場所は「土砂災害危険個所」もしくは「土砂災害警戒区域」に指定しています。自宅がそうした場所にあるかどうかを国土交通省や市町村のホームページ、または直接問い合わせて確認しておきましょう。 雨が降り出したら「土砂災害警戒情報」に注意 大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、避難勧告発令や自主避難の参考となるように、都道府県と気象庁は共同で「土砂災害警戒情報」を発表します。テレビ、ラジオの他に各都道府県や気象庁のホームぺージにも掲載され、補足情報として「土砂災害警戒判定メッシュ情報」がこのホームページ状に掲載されます。メッシュ情報は5km四方の領域毎に、2時間先までの土壌雨量指数(降った雨が土壌にどれだけ溜まっているかの指数)の予想を用いて、土砂災害の危険度の高まりを5段階で判定した結果を色別に表示します(図2参照)。 土砂災害警戒情報が発表されたら早めに避難 図2の「土砂災害警戒判定メッシュ情報」で「実況または予想で大雨警報の土壌雨量指数基準に到達」した領域(①赤色)の区域に住む人は、いつでも避難を開始できるように準備をしてください。 また「予想で土砂災害警戒情報の基準に到達」した領域(②グレー)に住む人は、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況となっているので、土砂災害危険箇所等の外の少しでも安全な場所へ避難してください。数年に1度しか発生しないような短時間の大雨を知らせる「記録的短時間大雨情報」が発表された場合も同様の行動をとって下さい。 さらに「実況で土砂災害警戒情報の基準に到達」した領域(③濃いグレー)に住む人は、過去の土砂災害発生時に匹敵する極めて危険な状況となるので、この段階までに避難を完了しておくようにするべきです。 激しい雨や暴風のために避難場所への避難が困難な場合は、近くの頑丈な建物の2階以上に避難してください。それが難しい場合は、家の中で崖や沢筋からなるべく離れた部屋や2階など、より安全な場所に退避しましょう。 洪水浸水災害 洪水浸水災害の種類と前兆 洪水浸水災害には大きく分けて次の2種類があります。 ・外水氾濫…大雨や雪解けによって、河川や湖の水の量が増え、氾濫したり堤防やダムが決壊して発生する。 ・内水氾濫…街中の排水が間に合わず、地下水路や側溝などから水が溢れだすこと。また、河川本流の排水が間に合わず支流に逆流したり河川から溢れること。 外水氾濫の前兆(水位がそんなに高くなくても) ・堤防の川側面が崩れ始める。 ・水が激流となって、堤防の土が削り取られたり、護岸が崩れ始める。 ・堤防の側面から水が漏れだす。 ・堤防に亀裂が生じる。 ・堤防近くの地盤から、水が噴出する。 内水氾濫の前兆 ・マンホールから空気が強く排出される(水が排出される場合は既に始まっている)。 ・支線河川の流れが通常とは逆になる。 ・側溝・水路の流れが通常とは逆になる。 ・道路の掘割部(アンダーパス部)に水が溜まり始める。 洪水浸水災害から身を守るために 洪水浸水災害は基本的に雨がもたらす災害で、対策や避難については土砂災害に通じるものがあります。 河川氾濫による浸水の危険があるかをハザードマップで事前に確認 河川から水が溢れた時に危険な場所なのかどうかは、各自治体から河川氾濫のハザードマップが公開されていますので、河川氾濫が起きた時にどれぐらい浸水する可能性がある場所なのかを事前に調べておきましょう。 ハザードマップは内水氾濫を想定した内水ハザードマップと、河川からの氾濫を想定した洪水ハザードマップの2種類が公開されている場合があります。今いる場所が浸水想定区域になっているかは、アプリ「わが家の防災ナビ※」の「ハザードマップ」で簡単にチェックすることができます。 ※アプリ「わが家の防災ナビ」についてを参照 近隣河川の水位情報をこまめに把握しておくこと インターネットの発達した現在では、事前に河川の水位を把握することができます。〇〇川水位と検索すれば多くの情報を得ることができます。図3に国土交通省河川事務所が発表している情報の一例を示します。 水害予兆と避難時の注意点 前述の情報確認はもとより、当然のことながら自分の地域で豪雨や長雨が続いていたり、近くの川の上流で豪雨や長雨が続いている場合は危険な状況であることを認識し、できれば夕方までに避難することが望ましいでしょう。以下に、浸水の深さによる避難時の注意点を述べます。 【想定浸水深】0.5m未満 ・地上が浸水すると、地下に一気に水が流れ込み、地下からの脱出は困難となる。 ・車での避難が危険な場合がある。 ・浸水の深さがひざ上になると徒歩による避難は危険となる。 ・避難が遅れた場合は、自宅等の上層階へ移動する。 ・マンション等の高い建物に居住している場合は無理に避難する必要はない。ただし、浸水が長時間継続した場合や孤立した場合の問題点について認識しておくことが必要。 【想定浸水深】0.5~3.0m ・1階の住民は床上浸水となり避難が遅れると危険な状況に陥るため、避難情報のみならず河川の水位情報等にも注意し、必ず避難所等の安全な場所に避難する。 ・水・食べ物・貴重品などを2階以上に持って上がる。 ・浸水が始まってからの避難は非常に危険なため、近くの丈夫な建物の2階以上に移動する。 ・マンション等の高い建物に居住している場合は無理に避難する必要はない。ただし、浸水が長時間継続した場合や孤立した場合の問題点について認識しておくことが必要。 【想定浸水深】3.0m以上 ・2階床面が浸水するため、2階建て住宅及び2階の住民は、避難が遅れると危険な状況に陥るため、避難情報のみならず、河川の水位情報等にも注意し、必ず避難所等の安全な場所に避難する。 ・高い建物の住民でも浸水深が深く、水が引くのに時間を要することが想定されるため、事前に避難所等の安全な場所に避難する。 おわりに 災害に遭わないためには今一度現在お住いの場所の状況を正確に把握しておき、いざという時には細かな情報収集や速やかな避難が重要となります。
2019.12.10