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建設プロジェクトのCM業務内容について[前編]

2023.07.28

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設計段階のCM業務内容

適切なプロジェクト関係者の選定と発注者要望の把握

はじめに

CM業務についてご説明の際、まずは「阪急CMは建設プロジェクトのベストパートナーとして、発注者の側にたち、蓄積されたデータベース、人的支援、専門技術者による建設マネジメントノウハウをもって、建設プロジェクトを推進致します。」とお話します。

その際、発注者様からは、それが具体的に何であるのか、ご質問を受けることがございます。今回のブログでは、その中でもよく話題になる「設計段階・工事段階にCMR(※)がプロジェクト関係者に対して何をマネジメントするのか」というご質問について、具体的な事例を交えてお伝えします。

※CMR:コンストラクション・マネジメント会社のこと

前提:最適なプロジェクト関係者選びが成功のカギ

プロジェクトの特徴にみあう、適切な設計者・工事監理者・施工者等のプロジェクト関係者(以下プロジェクト関係者)を選定することが、本来一番大切です。

CMRはプロジェクトの建物規模・工期・コスト・用途・特性・施工性等を鑑みて、プロジェクト関係者をどのフェーズで、どんな風に決めていくか、発注方式を検討します。従来型の設計施工分離だけではなく、DB方式(※)や、ECI方式(※)など、多様な方式を検討の上、最善策を提案します。また発注に必要な与条件整理を行います。併せて「どんなプロジェクト関係者を希望するか」資格要件を定め、プロポーザル、コンペ、総合評価、入札等の選定方式を検討致します。また審査基準づくりなども支援致します。

一方で、CMRの参画時には既にプロジェクト関係者が決定しているケースも多々あります。このような場合でもその後の対応にて、発注者の思いを伝える役割をCMRは担っていきます。

※DB方式:デザインビルド方式/※ECI方式:アーリーコントラクターインボルブメント方式

[設計監修]発注者要望反映確認と内容最適化の支援

それでは、設計段階において、発注者様のお悩みにどのようなものがあり、私達阪急CMが行う設計監修の内容にどのようなものがあるのか、具体的にみていきましょう。

[設計開始時]経緯や与条件整理、課題検討主体把握をリード

・設計者が業務着手するにあたり、これまでの経緯や設計の与条件に関する資料説明を実施します。併せて今後整理する必要がある条件などを明示し、適切な業務委託を支援します。

・プロジェクト関係者が多い場合は、各々の立場や役割を整理して提示し、検討主体となるメンバーを把握の上、進捗確認を行います。

[設計中]要望やその意図、優先順位を設計者に適切に伝達

・設計者の提案・資料の内容が発注者要望を反映しているか、計画内容・工期・コスト・品質等の面から確認を実施し、逐次報告・助言等を実施します。図面や検討資料など、内容によっては技術的・専門的であるゆえ、発注者様に代わりその読み込みを支援します。

・設計図が出来上がった段階で、施工者発注や施工に向けて必要な情報が表現されているかの確認を実施します。

[概算工事費の妥当性検証]スムーズな工事発注に向けてのコスト調整を実施

・設計図に基づく概算工事費の妥当性を確認します。特にDB方式などを採用し、設計者と施工者が同じ企業の場合や、工事契約が設計時から交わされている場合などは、その妥当性をCMRのような第三者が確認することが、発注者様の企業内外での「説明責任(アカウンタビリティ)」の確保に有効です。

・当初予算から超過している場合には、超過要因を分析するとともに、可能な限りのVE(バリューエンジニアリング)提案を実施します。

よくある質問(設計段階CM業務)

Q:設計者に発注者要望反映を任せてはいけないのですか?

A:発注者側の立場で、客観的に設計内容を理解・説明できる者(CMR)の重要性が増しています。

 設計者は設計与条件に沿って、法規制等に準拠しながら建物内外のデザインを行う者です。発注者と設計者のやりとりが円滑で、適切な図面反映と、発注者への内容説明が十分行われていれば、CMRの関わりは限定的なものとなるでしょう。

 しかし阪急CMにご相談を頂く発注者の多くは、設計者とのやりとりが専門的な内容も含むため、「うまくいかなかった」経験をお持ちです。これを防ぐために、CMRは適切なタイミングで発注者要望を代理者として設計者に理解しやすい形で伝え、反映されたものを確認・報告する支援を行います。

 近年では建築設計を取り巻く環境が複雑化し、設計者は検討が必要な事項が大幅に増えています。CMRの支援は、発注者はもちろん設計者の負担も減らし、より良い設計に注力できる環境づくりに寄与します。

次回:[後編]工事段階のCM業務について

後編では客観性と調整力が求められる工事監理監修にCMRを入れることがなぜ有効なのかご説明いたします。
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