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建設費高騰渦中のプロジェクトにおけるコストマネジメント
2021年より急激に高騰している建設費ですが、その要因は複数で広範囲に渡る非常に厄介なものです。阪急CMでは、この状況に対応すべくグループ会社とも連携し最新情報を共有することは勿論のこと、新たな視点や気付きも模索し、常にコストマネジメントの最適解をアップデートし続けています。今回のCMチャンネルでは「現在の建設コスト高騰状況の整理」と「建設費及び景気の推移を俯瞰した現在の状況」をご覧いただき、それについての阪急CMの取り組みや今後についての見解をご紹介いたします。 現在の建設コスト高騰へ影響をあたえた主な出来事 新型コロナウイルスの蔓延、ウッドショック、アイアンショック、2050年カーボンニュートラル、ロシアのウクライナ侵攻、働き方改革関連法施行、半導体不足、為替の変動等々多数あり、またこれらは複雑に影響しあっています。 国際的事情が影響する資材価格 現在、殆どの建設資材や設備機器はその全て若しくは一部を輸入建材や海外工場製に依存しており、今回の新型ウイルス蔓延に端を発した世界的なサプライチェーンの分断により深刻な影響を価格と納期にあたえました。現在も価格は高止まり若しくは上昇傾向が続き、納期についても特に設備機器では半導体不足の問題もあり回復の見通しがついていない状況です。 国内事情が影響する労務費 働き方改革や、国土交通省による建設業界の労働者不足ひいては業界衰退を懸念した労働環境改善への取組が顕著にみられており、工事費の高騰に影響を与えています。ここでも資材と同じく価格の面だけでなく、労働力確保の難しさにも影響が出ています。更に「2024年問題」と言われている働き方改革関連法の猶予期限を迎えることは今後も労務費、輸送費を押し上げる大きな要因となる見込みです。 建設費及び景気の推移から俯瞰した現在の状況 1960年からの建設工事費等の推移を見ると、現在の建設費高騰は1970年代のオイルショック以来とも言える急激かつ長期な建設費高騰であることがデータ的にも現れています。全体の着工床面積は徐々に減少しており、坪単価においては直近10年で過去最高の状況となっています。また、就労者数が徐々に減少している傾向にあり、今後も労務費の増加が見込まれる状況です。しかし、長い時間軸の中で俯瞰して見ると一つの時代の過渡期の様にも見え、今後の見通しとしては、多少の揺り戻しによる建設費下落の可能性はありますが、2021年以前の建設費水準に戻ることは恐らく無いと考えられます。 阪急CMの取り組み 阪急CMではコストマネジメントにおいても常に最新情報の収集や整理は勿論、お客様からご相談を受ける内容をもとに、より良い手法やサービスを検討しております。ここでは最近多いお客様からのご相談を一例として、阪急CMの取り組みをご紹介いたします。 おわりに コロナに端を発した一連の出来事や、カーボンニュートラル社会の実現、それらに伴い急速に変革する社会、その一方で再度見直されるリアルコミュニケーションなどコロナ前、コロナ禍、コロナ後のそれぞれ見えている未来は確実に変わってきており、建設業界に於いても当面の2024年問題やカーボンニュートラル社会の実現に向けて課題は山積みです。我々阪急CMはいつの時代も、状況に柔軟にアジャストした骨太なコストマネジメントにてお客様のプロジェクトを全力でバックアップさせていただきます。プロジェクトをご検討の際には、是非お声掛けいただけます様、お願いいたします。 お問い合わせ、是非お待ちしております! お問い合わせはこちらまで! ☞ CONTACT御精読ありがとうございました! ー Thank you for your reading! -
2023.07.07
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急激な資材価格高騰局面の建設コストの推移について
Hankyu CM Channel Vol.40(2022.11発行)のコストレポートをご紹介します。 新型コロナウィルス感染拡大、2021年のウッドショックやアイアンショック、2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻の影響による穀物やエネルギー関連の価格上昇などにより世界的な混乱が続いています。また、2022年4月からの記録的な円安ドル高などの複合的な要因により資材価格が高騰し建設コストにも大きく影響しています。 近年の建築費指数の推移<東京>(グラフ1) 上昇傾向が続いてきた建設コストが更に上昇傾向に 鉄筋コンクリート造、鉄骨造共に上昇傾向が継続しています。建設物価調査会の統計データによると建築費指数は、ウッドショックの影響が出始めた2021年初頭から上昇傾向となり、2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻以降は、穀物やエネルギー以外にもあらゆるものの価格が上昇しています。公共工事においても入札不調が多数発生するなど、上昇傾向が続いてきた建設コストが更に上昇傾向となることが予測されます。(↓↓↓↓ パソコンでご覧の方はCLICKすると拡大で閲覧可能です ↓↓↓↓) 建築・設備主要資材価格動向<東京>(グラフ2) 2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻からエネルギー関連や資材価格の高騰が加速 2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻からエネルギー関連や資材価格の高騰が加速し、建築・設備主要資材価格に影響し続けています。スクラップについては2022年6月に入り下落したものの依然として高水準で推移しています。(↓↓↓↓ パソコンでご覧の方はCLICKすると拡大で閲覧可能です ↓↓↓↓) 主要都市の鉄筋工事、型枠工事の市場単価(労務費)の推移(グラフ3) 鉄筋・型枠工事で労務需給のひっ迫感が続いており、上昇傾向 東京オリンピック後に横ばい傾向(一部は下落)で推移してきましたが、鉄筋・型枠工事で労務需給のひっ迫感が続いており、上昇傾向に移っています。今後、働き方改革(4週8休)による労務費への影響、建設業界の就労者数の減少傾向により労務費は上昇すると予想されます。(↓↓↓↓ パソコンでご覧の方はCLICKすると拡大で閲覧可能です ↓↓↓↓) 阪急CMのコストマネジメントについて 基本構想から工事施工と建設プロジェクト完了までには少なくとも1年以上、長期にわたると年単位の期間を要します。建設コストが上昇局面にある状態では、計画当初に立案した予算から工事発注時に建設費が著しくオーバーするリスクが高くなるため、施工者確定だけでなく工事費を早期に確定させることがより重要となります。 お問い合わせ、是非お待ちしております! お問い合わせはこちらまで! ☞ CONTACT御精読ありがとうございました! ー Thank you for your reading! -
2023.01.11
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資材価格高騰時における建設コストの推移について
Hankyu CM Channel Vol38(2021.10発行)のコストレポートをご紹介します。 今回は、「資材価格高騰時における建設コストの推移について」と題し、各資材価格のコスト推移を記載させていただいております。加えて、コラムとしてウッドショックやアイアンショックまたそのマネジメントのポイントを記載させていただきました。首都圏における多くの大規模開発案件、2025年大阪・関西万博や統合型リゾート開発等、日本国内において今後も大型プロジェクトが目白押しであり、加えて民間企業においてもコロナ禍にも関わらず、建設投資は旺盛傾向にあり、建設需要が低迷する見込みは今のところ低いと考えています。一方で、9月の中国における大手デベロッパーの経営危機に起因する世界的な信用不安が発生することが否定できない情勢にあります。 阪急CMでは、1996年創業来様々な経済情勢局面において多くの工事発注案件に携わってきており、最適な工事発注に関するCM業務を展開して参りました。そのノウハウを貴社のプロジェクトにおいても役立てていただけるよう努めますので、ぜひお気軽にお問合せ下さい。 お問い合わせ、是非お待ちしております! 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2021.11.19
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コロナ禍における建設コストの推移
はじめに 新型コロナウイルスの感染拡大による東京オリンピック延期やインバウンドの減少、さらに各地で多発する自然災害と困難な状況が続く中、建設プロジェクトに於いても「感染拡大防止対策」「新しい生活様式」など、今までにない様々な対応が必要になっている状況です。現在、建設コストへのコロナ禍による影響はまだ途中段階であると思われますが「建築費指数」「建築・設備主要資材価格動向」「労務費の推移」について考察を交えご紹介いたします。*本レポートは阪急CMが発行する阪急CM CHNNNELvol.36(2021年1月発行)に掲載された内容を再編集したものです。 近年の建築費指数の推移(グラフ1) 緊急事態宣言を境に下降傾向に転じたが、以降概ね横ばい傾向 鉄筋コンクリート造(以下RCという)、鉄骨造(以下Sという)共に、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を境に、下降傾向に転じたが、緊急事態宣言解除後以降では概ね横ばい傾向が見られます(2020年7月時点RC指数118.5~120.7、S指数116.6~118.1/基準は2011年=100)。 グラフ1では、建設物価調査会の統計データによる建築費指数は、消費税増税の影響により需要が落ち込むタイミングにWHOによる緊急事態宣言が重なり、下降傾向に転じましたが、概ね5~6月を底に下げ止まり、以降横ばい傾向が続いていることを読み取ることができます。これにはGoToトラベルキャンペーン等の政府の施策や企業努力など様々な要因が考えられますが、新型コロナウイルスの感染拡大が再燃するなかで、今後の建築費の動きを注視する必要があります。 建築・設備主要資材価格動向(グラフ2) 緊急事態宣言を境に下降傾向に転じたが、以降持ち直しや横ばいの傾向 新型コロナウイルスの緊急事態宣言を境に穏やかな下降傾向であったが、緊急事態宣言解除後以降ではスクラップの持ち直しや概ね横ばいの動きが見られます。グラフ1の建築費指数の推移と比較すると、グラフ2では2010年以降スクラップ以外の振れ幅が小さく横ばい傾向が強い。このことから近年の建築費指数の動向には、資材価格よりも、労務費や施工会社の諸経費が大きく影響していると読み取ることができます。 ガソリン 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大傾向が続いているなか、先行き不安は払拭できず現状を底値圏とした横ばい推移の見通し◎2020年01月 135円/㍑ ◎2020年05月 114円/㍑(↘)◎2020年11月 122円/㍑(↗) スクラップ 新型コロナウイルス感染拡大による工場休止や工事中断が相次ぎ荷動きは低調であったが、在庫調整による需給のタイト感が出てきており、先行き横ばい推移の見通し。◎2020年01月 1.65万円/t ◎2020年05月 1.05万円/t(↘)◎2020年11月 1.65万円/t(↗) 鉄筋・鉄骨 新規需要は低調に推移しており、市況は下落基調が続いているがスクラップ価格の回復を受け目先強含みの見通し。◎鉄筋・・・2020年01月 6.8万円/t2020年06月 6.3万円/t(↘)2020年11月 6.5万円/t(↗)◎鉄骨・・・2020年01月 8.2万円/t2020年06月~2020年11月 7.4万円/t(↘) 生コンクリート 出荷量は新型コロナウイルス感染拡大の影響による着工遅れや工程遅延もあり減少が続いている。協組は2020年4月受付分から1,000円の値上げを打ち出しているが浸透には時間を要する見込みであり、先行き横ばい推移の見通し。◎2019年09月~2020年08月 1.40万円/m3 ◎2020年09月~2020年11月 1.41万円/m3(↗) 型枠(コンパネ) 新型コロナウイルス感染拡大の影響による更なる需要低迷により、過去にない低水準の入荷が続き、需給にタイト感が出てきており目先強含み推移の見通し。◎2020年01月 1,300円/m2 ◎2020年04月 1,270円/m2(↘)◎2020年08月 1,200円/m2(↘)◎2020年09月~2020年11月 1,170円/m2(↘) 600vビニル絶縁電線(IV) 都市部の大型物件を中心に堅調に推移していた需要は、新型コロナウイルス感染拡大による工程遅延などから落ち込みも見られるが、先行き横ばい推移の見通し。◎2020年01月 22.5円/m◎2020年05月 20.4円/m(↘)◎2020年08月 21.8円/m(↗)◎2020年11月 22.5円/m(↗) 配管用炭素鋼鋼管(SGP) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け需要は低迷しているが、生産調整等により価格に変動なく先行きも横ばい推移の見通し。◎2019年09月~2020年11月 4,100円/本 主要都市の鉄筋工事、型枠工事の市場単価(労務費)の推移(グラフ3) グラフ3では、労務費の目安は2016年11月頃より長らく概ね横ばいの推移が続いていましたが、2019年5月頃より東京都心部では需給の緩和や、工事量減少の見通しから専門工事業者間での受注競争が活発になり下落傾向に転じたと読み取ることができます。 新型コロナウイルスによる先行きの不透明感から、今後受注競争が活発になるとの見方もありますが、現状では概ね現行価格が維持され一部弱含み推移となる見通しです。ただし本稿執筆中である2020年12月時点では、名古屋に僅かな下降傾向が見られましたが、大阪は横ばい推移が続いており殆どデータに影響は表れていません。 おわりに コロナ禍の現在、建設コストへの影響が大きく注目されていると思いますが、本稿でご紹介した「建設コストの推移」では今のところ2008年のリーマンショック後のような急激な変化を確認するには至っておりません。 ただし、今後の建設プロジェクトにおいては、コロナ終息後も根付いて行くと思われる「新しい生活様式」への適応や、受注競争及び、サプライチェーンの世界的変化などによりコストや工期への影響が懸念されます。先行きの不透明感が強まるなか、懸念事項を解決し建設プロジェクトを成功させるためには、最新の情報を得ること、そして何よりその活用方法が重要と考えます。 当社では公共・民間問わず、様々なプロジェクトのCM業務・工事費査定業務に携わっており、「最新の建設プロジェクトの進め方」及び「最新の建設コスト情報」にてサポートすることが可能です。建設プロジェクトを進めるにあたり、お困りのことがございましたら是非お声がけいただきたいと思います。
2021.03.16